コラム

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もったいないとムダは紙一重

2021.04.21

ずいぶん昔の話です。
前回、阪神タイガースが日本一になったあたりですから・・・
35年以上前です。

その夏、我が家にアメリカ人の友人が長逗留していました。
前年に私が留学していた際に世話になった家族の長男です。
お互いに学生だった当時は楽しい毎日の連続でした。・・・
ですがそのエピソードは今回のコラムでは割愛します。

滞在中の彼のルームウェアはNYジェッツのスウェットパンツ
にTシャツ、そしてそれらと下着類は祖母が洗濯をしてくれてました。
ある日、祖母は私を呼び止め彼のスウェットパンツを見せました。
膝の部分はつぎはぎだらけでふとももの辺りは薄く擦り切れそうな
状態でした。
アメリカでは地方銀行の副頭取の息子、家屋敷も広大で水深の深い
コバルトブルーのプール。
裕福な育ちの彼にしてみれば・・・
意外でした。

「アメリカさんだと思ってたけど・・・
 こういうところは見習いなさいよ・・・」

「あなたはバイトで頑張ってるのはわかるけどね・・・
 毎月新しい服ばっかり買ってさ・・・
 結局着ない服のほうが多いんじゃないかい・・・」

「それはムダなの。」

「昔から腹8分目っていうでしょ・・・それくらいがちょうどいいのよ・・・
 十二分だったら永遠に40%が降り積もるだけだから・・・」

祖母の小言に反発する自分もありながらも、結局気に入らない服は
クローゼットの定位置。そしてまたお気に入りを求めての買い物・・・

意を決しその後、2シーズン袖を通さなかった服を処分していきました。
バイトで貯めたお金で買った・・・という気持ちを持ちながら・・・
そこまでの代償を払わないと40%が永遠に降り積もるのでしょうね。
整理を終えてから、一つ一つの洋服の扱いが丁寧になったり、雑貨や
家具、調度品の愛着や買い物のスタンスが楽しくもなり貴重なもの
になった気がします。

日本人の大切な教え「もったいない精神」
それは決してムダを保有することではない。
ムダを削いで、愛着をもってモノと接する・・・
そうすれば紙一重の先の「貴さ=ありがたい=もったいない」が見えてくるはずです。

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